テレビ東京「カンブリア宮殿」
テレビ東京に「カンブリア宮殿」という番組があります。作家の村上龍氏、女優の小池栄子氏が司会を務める人気番組です。毎回、日本で注目すべき企業の経営者を招き、成功へ導いた企業の理念や経営哲学を示してくれます。
一月二十五日放映の「カンブリア宮殿」には、五十四年前に高根沢の地で、故松谷正雄氏によって創業された「マニー株式会社」の松谷貫司会長が出演されていました。松谷会長の言葉は、一つひとつがすべて珠玉の言葉でした。「粘ればひらめく」「世界一か否か会議」「企業の得意分野は社会の財産」中でも心打たれたのは「世界一でなければ作る意味はありません。それは世の中のためにならないからです。他社の製品が世界一なら、その製品を世の中に流通させたほうが世の中のためになるのです。だからマニーは世界一の製品しか作らないのです。世界一は会社を強くします。」という言葉でした。
利益率四割という日本でもトップクラスの経営哲学に、私の目も心も番組に釘付けになりました。放送では、創業の地として高根沢町が紹介されました。御料牧場の風景が流れ、茅葺き屋根の民家の前で創業者である故松谷正雄氏を囲むご家族の写真もありました。創業から今日までの幾多の苦難や製品開発に昼夜を問わず没頭した息遣いが、その映像からは感じられました。
こんなに素晴らしい企業がこの町から生まれたこと。とてもありがたいことだと感謝すると同時に、誇りで胸が一杯になりました。
デマンドバス
デマンドバスの運行開始から四カ月がたちました。たくさんの苦情もいただきましたが、関係者の方々の懸命の努力もあって何とか順調に運行しています。十月から十二月までの三カ月間の統計では、利用者が七三七五人。平日の平均が一日約九十九人、土日は約三十人。男性が約十八%、女性約八十二%。年齢構成では七十代約四十二%、八十代約三十七%、六十代約八%といった順になっています。
先日、町内で理容業を営んでいる方から嬉しい提案をいただきました。「U字工事」よりも迫力ある栃木弁でしたが、ここではそれを翻訳・要約します。
「町長、ちょうどいいところに来た。話があったんだ。」
「あのデマンドっていうやつのことで、役場に行こうと思ってたんだよ。」
「デマンドは始まったばかりで苦情が多くて…。親父さんのところは床屋だからいろんな話が入るでしょ。で、どんな苦情?」
「いや、苦情じゃないんだよ。ウチに来てくれる高齢者は、嬉しそうに、胸張って言うんだよ。今日はデマンドで来たんだ、家まで迎えに来てくれて、それで百円だ、どうだ参ったか、みたいな感じでな。」
「でも、待ち時間が長いとか、頼んだのに来ないとか、けっこう苦情が来てるんですよ。」
「その年寄り達が言うには、どうせ俺らは時間はたっぷりあるから、少し待ったって、行きたい所に百円で行けるのはありがたい。そう言うんだよ。」主人の話はいよいよ佳境となります。
「高齢者の方々は、本当に節約して生活をしてる。車を持ってない人も多いし、散髪も年に盆暮れの二回だけとか。そこでだ、平日の昼間は比較的に客が少ないから、その時間帯にデマンドで来てくれた高齢者には、割引料金と店のほうでデマンド代も出せたらと思ってな。これからは床屋も社会貢献だよ。そんな仕組みが作れるかどうか、役場に行って相談したかったんだ。」
この提案はまだ実現していませんが、心温まる話でした。デマンドバスは直接利用する方だけではなく、利用しない方にも「応用」できるのです。よろしく御願いいたします。
■こちらのコラムに関して
こちらのコラムは、高橋かつのりが高根沢町長在任時、高根沢町の広報誌『広報たかねざわ』で執筆していたコラム『夢だより 風だより』を、高根沢町の許可を得て転載しております。
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