原辰徳巨人軍監督の父君、原貢氏が亡くなられた。
東海大相模高校野球部の監督と選手時代のエピソードが、本棚の自分の古いノートに書き留めてあった。
原貢監督は息子であり選手の辰徳氏にこう言ったという。
「他の選手と実力が五分五分だったら、お前は補欠だ」
「お前が六で他が四でも補欠にする」
「他が一発ならお前は三発だ」
そして辰徳氏の三年生最後の夏が終わった時、
「辰徳、お前よう頑張ったな。しかしな、俺もきつかったぞ」
辰徳氏はこの言葉を聞いた時、嬉しくて涙がポロポロこぼれたという。
権力を持つ人間が平等を心がけても周りの人間にはそう映らない。このエピソードに町長としての自分は教えられたものだった。
子供達には今でも申し訳ない思いでいっぱいだが、町の小中学生海外派遣事業には絶対に応募させなかった。友達が選抜されていくのに、さぞや親父を恨んだことだろうと思う。
権力を握るものは、常に身内は後回し。
この潔さと矜恃がなくなった時に、国は滅びるのだと思う。