こども医療費無料化、中学三年生まで拡大
九月八日開会予定の町議会定例会に、現在小学校三年生まで無料化しているこども医療費の、中学校三年生までの対象年齢引き上げのための条例改正案を提出いたします。
子育て支援策の優先順位を決めるための社会経済環境の変化や、財源確保の見通しもついたことから九月議会に諮ることとしました。たくさんの町民の皆様からの要望に対し、限られた財源の中で、どのような考えでそれらの要望を整理し優先順位をつけるべきなのか、私の考えを書きたいと思います。
私の考え方の基本となるものは「自助・共助・公助」です。私たちが身の回りの問題を解決していくためには、まず個人や家族の助け合いにより解決していきます。それでも解決できないときには、地域に暮らす一人ひとりがお互いに思いやり、助け合う、結いの心を持って解決していくことが必要となり、それでもなお、解決が困難なことを補完することが行政サービスであると考えています。
子育て支援策につきましても、まず自助、つまり個人や家族の助け合いで行うこと、そして次に共助、地域の助け合い、さらに個人や地域では乗り越えられない問題を公助として行政が担うという観点から、町の数々の施策事務事業について優先順位をつけて施策展開をしてまいりました。
例えば、子育て家庭への支援につきましては、障がい児保育等の特別保育の実施をはじめとした保育全般の充実や障がい児学童保育、小・中学校における多人数クラス対応、配慮児対応非常勤講師の配置、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、学校に行くことのできない児童・生徒のための居場所である「ひよこの家」の町単独配置など、自助・共助では乗り越えられない問題、つまり公助が必要な問題を優先して取り組んでまいりました。
少しデータを申し上げますと、本年度の特別支援教育関係非常勤講師の加配状況ですが、町単独配置は高根沢町が二八名です。本町と比較的似ている自治体を挙げますと、那須烏山市は二十名、上三川町は一七名、壬生町は六名。人口は若干少ないのですが、よく本町と比較をされる芳賀町はゼロです。さらに、スクールカウンセラーの町単独配置市町は本町以外には矢板市、さくら市、真岡市、大田原市、壬生町のみ。スクールソーシャルワーカーの町単独配置は本町のみとなっています。さらに、障がい児の学童保育、不登校生徒児童のための「ひよこの家」は県内で高根沢町しか行っておりません。
そのような形で優先順位を決めて施策展開をしてまいりましたが、さきの世界同時不況の影響を受けて年間所得が著しく減少するなど、各家庭の経済状況は非常に苦しくなってきていることは事実です。そして、これまで私たちが考えていた自助、共助では乗り越えられない状況というものが増えてきていることも事実です。
つまり、子育て支援施策の中での優先順位が高まってきていると考えています。さきに町議会議員一四名で組織されている政策集団である自治研高根沢からいただいた政策要望も、これらの考え方に基づいたものだと私自身理解しております。
特に、景気の影響を受けやすい子育て家庭には、子どもたちが健やかに成長していく環境をつくるためにも多様な支援に加え、早急な経済的支援が必要であると考え、本町において、子育て支援景気対策の一環として、こども医療費の中学校三年生までの無料化実施に向けて内部で研究を重ねてきたわけです。
以上が私の考え方ですが、世の中にはいろいろな考え方があり、例えば対象となる人数が多い順に優先順位を付けるべきという考え方もあります。しかし、私はたとえ少人数でも、自助・共助・公助の原則に照らして優先順位を決めたいと思います。今、順調な方でも、自分の努力では乗り越えられない壁に直面するかもしれない。その時に、その方々を支援する仕組みがあってこそ本当の安心に繋がることだと思うからです。
これからも、この考え方に対する納税者である町民の皆様のご理解を得られるならば、要望を整理し優先順位を付け、財源の確保をしっかりと見極めて(無原則に借金をすれば多くの要望にこたえることは容易ですが、子や孫にそのツケを回すことになります)、事務事業を執行していきたいと思います。
最後に、高根沢町は決して満点ではありませんし、まだまだ要望にこたえられないこともたくさんありますが、それでも県内では上位の行政サービスを提供できていると思います。一方で、町の借金である起債(一般会計)については、過去最高八五億円あったものが、現在では七二億円となり、来年の四月には六八億円まで減額できる予定です。これも、職員削減を含めた厳しい行財政改革を着実に実行してくれている町職員のお陰だと感謝しています。町民の皆様にもご理解いただければ幸いだと思っています。
■こちらのコラムに関して
こちらのコラムは、高橋かつのりが高根沢町長在任時、高根沢町の広報誌『広報たかねざわ』で執筆していたコラム『夢だより 風だより』を、高根沢町の許可を得て転載しております。
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