五月
日本は四季折々、それぞれに美しい国ですが、私は五月が一番好きです。本来、日本が良い国であることを、さらに平和がこんなにも美しく尊いものであることを感じさせてくれる季節だからです。
パナソニックの創業者である松下幸之助翁がこんな文章を残しています。
「花が散って、若葉が萌えて、目のさめるような緑の山野に、目のさめるような青空がつづいている。身軽な装いに、薫風が心地よく吹きぬけ、かわいい子供の喜びの声の彼方に、鯉のぼりがハタハタと泳いでいる。
五月である。初夏である。そして、この季節にもまた、日本の自然のよさが生き生きと脈うっている。
春があって夏があって、秋があって冬があって、日本はよい国である。自然だけではない。風土だけではない。長い歴史に育まれた数多くの精神的遺産がある。その上に、天与のすぐれた国民的素質。勤勉にして誠実な国民性。
日本はよい国である。こんなよい国は、世界にもあまりない。だから、この国をさらによくして、みんなが仲よく、身も心もゆたかに暮らしたい。
よいものがあっても、そのよさを知らなければ、それは無きに等しい。
もう一度この国のよさを見直してみたい。そして、日本人としての誇りを、おたがいに持ち直してみたい。考え直してみたい。」
高根沢町の田んぼにも水が入り、鏡となった田んぼには空が映え、水面を渡る風はより爽やかに。周りでは植物や虫たちが小さな命を謳歌し始める。高根沢町はなんと美しい町だろう。四月十七日の下野新聞読者欄に「英国の丘陵風景高根沢にあった」との文章がありました。宇都宮市在住の方でした。町内にある「酪農とちぎ農業協同組合ふれあい牧場」が英国の著名な風景画家コンスタブルの描いた田園風景にそっくりだとのことでした。私たちはまだまだ自分の町のよいところを知らないようです。もっともっとよいところを知ることは、誇りを胸に抱かせ、誇りは人を幸せに導く気がしてなりません。今年の連休は、当たり前と感じているけれども、そんな小さな本物の幸せを見つけたいと思っています。
「世界に良い影響」日本二位
読売新聞社と英国BBC放送が共同実施した世論調査によると、「日本は世界に良い影響を与えているか」という問いに対して、世界三十三カ国二万九千九百七十七人からの回答の中で五十三%の方が評価をし、ドイツの五十九%に次いで二位であったとの記事が読売新聞に載っていました。毎日、報道に接している私たちは「えっ、本当?」と思うかもしれません。新聞やテレビに映し出される日本人の姿が「原則なき政治。良心なき娯楽。人格なき知識。道徳心なき商い。人間性なき科学。」を表しているからです。でも、世界の方々は違った見方をしてくれているようです。マレーシアの元上院議員、ラジャー・ダト・ノンチックの詩を紹介して今月は終わりにしたいと思います。
「かつて日本人は清らかで美しかった かつて日本人は親切で心豊かだった アジアの国の誰にでも 自分のことのように 一生懸命尽くしてくれた 何千万もの人の中には 少しは 変な人もいたし 怒りんぼや わがままな人もいた 自分の考えを押し付けて 威張ってばかりいる人だって いなかったわけじゃない でも その頃の日本人は そんな少しの いやなことや 不愉快さを越えて おおらかで まじめで 希望に満ちて明るかった(後略)」
■こちらのコラムに関して
こちらのコラムは、高橋かつのりが高根沢町長在任時、高根沢町の広報誌『広報たかねざわ』で執筆していたコラム『夢だより 風だより』を、高根沢町の許可を得て転載しております。
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