誰も知らない岡田君の記録
2014.10.23
今年のプロ野球も日本シリーズを残すのみとなりました。
今年生まれた数々の記録の中に、多分、皆さんが知らない記録があります。
育成選手として’08年に千葉ロッテマリーンズに入団した本町出身(阿久津スポーツ出身)である岡田幸文選手。華麗な外野守備で、観客をわかせてきた高根沢町の誇りですが、その彼が、今年7月31日、一軍デビュー以来、「プロ初打席から1,771打席連続本塁打ゼロ」というプロ野球記録を更新しました。そんな、長打力のない岡田選手が、’08のドラフトで育成枠6位ながらプロ入りすることができた最大の理由は、「50メートル5秒6の俊足」、その脚力を最大限に生かした守備が評価されたからでした。
岡田選手は記録更新後のスポーツ記者との取材の中でこんなことを話しています。「自分の持ち味は何なのか?チームから何を求められているのか?」を考えて野球をすることが、一番大事であり、「とにかく塁に出る。足で相手にプレッシャーを与え続けてホームに還ること」だと。また、12球団の外野手誰もが「プロで一番うまい外野手は岡田だ」と言わしめる守備力の高さから一軍デビュー以降、一度も二軍落ちを経験せず、足と守備のスペシャリストとして地位を確立したことで、試合に出場し続け、その結果生まれた記録がこの記録でした。
岡田選手はその取材の中で「プロを目指している子供は多いと思うんですけど、ホームランバッターだけがプロになれるんじゃなくて、自分みたいホームランを打たなくてもプロ野球選手としてやっていけることを野球少年に見てもらえると嬉しい」とも話していました。
プロの世界では、どうしてもホームランを打つバッターの印象が強く残るものですが、1,771打席もホームランを打たなかった岡田選手がチームに必要とされ続けたことは、野球というスポーツはチームで戦うスポーツであり、そのチームにとって自分の役割を考えているから必要とされたのだと思います。
昨年の参議院選挙で初当選した同期は34人。齢30代から60代まで。その出身も地方議員あり、首長あり、ジャーナリスト、実業界とそれぞれ。日本の歴史に名を残す大政治家の末裔もいる。
そう、誰もがホームランバッターになれるわけではありません。自分は国会議員の秘書を16年間勤めましたが、華やかな国会の場ではなく、地元選挙区をしっかり守る役割でした。その当時から、自分の持ち味と役割を考え続けてきた思いがあります。そんな自分だからこそ、岡田選手のインタビューに惹きつけられたのかもしれません。どんな役割であっても、黙々と全力を尽くす。全員がホームランバッターのチームほど脆いものはないのかもしれません。
ちなみに岡田選手の記録は日本プロ野球機構から表彰される記録ではありませんが、すべての組織の教訓として、記憶に残す記録だと思います。