今夏の猛暑は米の品質にも影響を及ぼしている。栃木県でも昨年は95?lあった一等米の比率が80%弱にまで下がった。品質上の、一等米と二等米では、価格差が大きいから、農家は誰しも一等米であってくれと願う。少しくらい手加減して一等米にしてくれよ、との検査官への思いは、当然の思いかもしれない。
新潟県では一等米の比率が2割しかないという。新潟県の農家の方がテレビのインタビューに答えていた。
「所得が激減して、今年は辛いけれども、新潟米のブランドを守るためにはしょうがないことです。我々が自らに厳しくしなければ、今後、いくら良い米を作っても評価されなくなってしまう。そうなったら元も子も無くなるのですから。」
正直、新潟県の農業者には負けたと思った。さすがだ。「今さえよければ、自分さえよければ」との考えは無い。物事を大きく、そして長く考えている。
土地や物のブランドを作り、維持していくことの心構えの核心だろう。気安く「ブランド化」などと言うが、この覚悟が無ければ言うべきではないのである。